#1
GPにおける部品交換とその効果とは?

<考察1>
本当に部品交換で着順は上がるのか?

グランプリのモーターは開催場のエース機が用いられるため、試運転の段階から高い機力を有する場合が多い。
それゆえに、部品交換の頻度は通常開催と比べると少なく「ピストンリング」の交換のみで仕上げる選手がほとんどだ。過去10年間トライアル~優勝戦で全74回の部品交換があったが、内56回の部品交換にて「ピストンリング」が含まれている。

データを分析すると、交換日の着順効果について、グランプリで本番進入コース以上の着順結果を得られたケースは58.6%。住之江開催に限定すると61.2%にもなる。
※6コース進入 6着は失敗としてカウント
※フライング・転覆・不完走等は計算から除外

<考察2>
大整備が功を奏して優勝することも?

大阪支部の石野貴之がトップの9回。次点では三重支部の井口佳典が7回となっている。
石野はグランプリを制した2019年開催では3日目トライアル2ndで「リング×4,ピストン×2,キャブレター,シリンダ」の大整備を敢行した。
割り当てられた85号機は2連対率45.2%の住之江5位モーターであったが、峰竜太の88号機(56.8%)や桐生順平の78号機(52.9%)と比較すると物足りなかったか。部品交換後はトライアル2ndを3着・2着・1着で進め、優勝戦は絶好の1枠を手にし、堂々のイン逃げで優勝を飾った。

<考察3>
部品交換が舟券攻略のカナメ?!

これらを踏まえるとグランプリ優勝には、部品交換が不可欠のように思えるが、大規模な整備を経て優勝を手にしたのはなんと2019年の石野だけだ。
各年優勝選手の節間交換有無を集計したデータによると、2015年山崎智也(キャブレター)・2019年石野貴之(上述)・2021年瓜生正義(リング×1)以外の優勝選手は一度も節間に部品交換を行っていない。

短期決戦のトライアル1st・2ndでは、部品交換で着順(得点)を1つでも上げることに大きな意味を持つが、優勝戦を制するという点では元々のモーター性能がずば抜けて高く、かつ乗り手好みの足である必要性が高いようだ。

ただ、トライアルや優勝戦2~3着の舟券攻略においては、「部品交換を施した場合の成功確率 61.2%(住之江)」というデータは決して無視することはできずむしろ重視すべき点である。